光る海

「光る海」2020

2020年4月

  • 国際画廊連盟選考 年間グランプリ賞インターナショナル部門受賞


「現代人気美術作家名鑑」掲載

インターナショナルアーティストの横顔

国際画廊連盟選考「年間グランプリ インターナショナル部門」受賞記念

“佐伯和子の芸術世界”

“ドラマチックな光と色の調和が冴える”
対峙する人々全てに、明朗な希望と多幸感をもたらす、五彩の輝きに満ちた「最初の樹」。天与の色彩感覚の自在な発露、その優雅で柔軟な表現は、虹色の光で、私達の魂を浄化する。いちじくの樹に、アダムとイブの神話を象徴させた、発想の秀逸も素晴らしい。生命創生の劇的な色のドラマは、息をのむ美しさと、無類の親しみを湛え、作家の画風の新鮮な領域を開示したと言える。また本作は背景効果も含め、水色の絶妙な配色が作品の聖性を高め、忘れがたい感動を誘う。
「光輝」は、花の美しさを原色の集散するエネルギーと、陽を受けて、それぞれの色が輝く態を静物画の様式美の中に、抽象的な色の表現で再構成。配色の華麗と、リアルな花の存在感が見事に調和し、画家の表現衝動の多彩を鮮明に伝える名作である。特筆すべきは、陽光のプリズムを絵具に用いたような独自の輝きだ。陽光のきらめきを立体化する下方の紙片の重ねた部位の工夫、斬新さにも驚きがある。
赤サンゴやパールの存在感を包容する青のトルコ石、ブルーオパールの光沢が目に優しい。「光る海」は、ジュエリー表現でも、重要な地歩を占める作家の美質が集成された神品である。技巧の洗練に加え、自然(の色調を大切にする)への慈愛を感じさせる、意匠の細部へのこだわり(光沢の調和の見事さ)が、美しい。

文/クリスティーヌ・モノー

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