幻想花 / 太陽を抱く山

「幻想花 」F20号 2014

「太陽を抱く山」F50号 2015

2017年3月

  • ART MAISON INTERNATIONAL Vol.21に掲載(スペイン国立装飾美術館、パジェ・デ・ロス・スエニョス財団協力図書)
  • 名前(佐伯和子)が刻まれたモニュメント(記念碑)がスペインの彫刻村に永久収蔵・野外展示(於:スペイン)


「幻想花」と「太陽を抱く山」の2作品は、エネルギーに満ちた力強い作品だ。これほどの作品には、なかなか出会えるものではない。「幻想花」は、たっぷりとした絵の具を大胆な筆致で塗り重ね、この植物を模様化した作品だ。画面からは、モチーフの力強い生気と意欲が伝わってくる。まるで孤高に君臨する主のように上部に描かれた花、その黄色の花びらは作品に暖か味を添え、美しいコントラストを生み出している。活力溢れる作品から、アーティスト自身の全身全霊を感じることができるのだ。
 たくましいラインで描かれた「太陽を抱く山」を通して、我々は佐伯和子の別の一面を見出すことができる。黒い描線によって美しいハーモニーのリズムが刻まれた山は、冷たく、時に凍り付くような色彩で際立っている。それと対照的な真っ赤な空と複数の色彩の光線放つ太陽が、この素晴らしい構図を完成させた。これは、まさに色彩家の作品だと言える注目に値する力強い絵画だ。

文/ジャン=マキシム・ルランジュ

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